つかず離れず団塊夫婦の住まい①
♪大人の夫婦の暮らし方♪3メートルの思いやり…(略)…♪付かず離れず大人のリビング♪
少し前に某大手ハウスメーカーのテレビCMでこんなような歌が流れていました。
広めのリビングの真ん中が本棚か何かで仕切られ、その右側で妻が縫い物を、左側で夫がテレビを見ている。家具で互いの姿は隠れ目に入らないけれど、同じ部屋にいるので気配は感じとれる、そんなリビングスタイルを提案していました。
個のプライバシーを守りながら家族の気配を伝える空間づくり。これが今の家づくりでの重要なキーワードです。あらゆる世代で言えることですが、団塊の世代には特に重要なポイントになるようです。「夫が退職して毎日家にいると考えただけでもゾッとする」という声よく聞きます。新婚時代のトキメキはもちろん、会話も無くなりつつある夫婦が家でずっと顔をつき合わせていたら、息苦しく感じるのは妻も夫も同じではないでしょうか?
団塊世代を思わせるCMのご夫婦は家では互いに好き勝手やっていたけれど、仲良く手をつないで外へ出かけていく、そんなシーンで締めくくられてました。常にべったり一緒にいない方が夫婦関係もうまくいくそんなことを匂わせているようでした。
「このCMのようにしたい」。今年の初め、あるご夫婦から自宅リフォームの相談を受けました。といってもリフォームするのはリビングでなくて寝室。要はつかず離れずの関係を保てる寝室をつくりたいということでした。
ご夫婦はお屋敷と呼ぶにふさわしい広いお宅に二人暮らし。奥様の寝室は母屋にご主人の寝室は離れにあります。夜はリビングよりもそこでで過ごす時間の方が長いそうで、互いが自室にこもった後用事があるときには携帯で話をしているそうです。
最近ご主人が病気で入院したこともあり、夜急に携帯電話も掛けられないぐらい気分が悪くなっても今のままでは異変に気付くこともできないと心配になったとのことでした。
そこでこのご夫婦に私が提案したプランは…。(②に続く)